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「京橋公園」の下、地下に広がる「コムズガーデン」。1990年、「国際花と緑の博覧会(花博)」開幕に合わせ誕生したこの施設は、長く街のにぎわいを支えてきましたが、近年、「施設設備の老朽化」「テナント売上高の低迷」「来館者の減少」など、ある転換期を迎えていました。
「このままでいいのか」…。そんな課題意識を持つ中、2025年4月に開幕する日本国際博覧会(大阪関西万博)に合わせて、地上部の京橋公園を再整備する方針が大阪市から示されました。
そこで、「コムズガーデン」と公園を一体的にリニューアルすることを決定、施設と京橋公園、東西の連絡地下通路を全面閉鎖する大規模工事を、2024年10月1日に着工しました。
駅利用者が地上の迂回ルートを通行する必要がある約6か月の閉鎖期間を経て、2025年4月18日、コムズガーデンはリニューアルオープンしました。
この特集記事では、プロジェクトメンバーである「店舗開発」「施設」「営業所」の6名の担当者に集まり、リニューアルの狙いや現場の舞台裏、そして未来への思いを語りあいました。

■参加者 経歴は2026年2月取材時点
| 参加者 | 所属部署での主な役割 |
|---|---|
| 店舗開発Aさん | 新規テナントの開発、誘致 |
| 店舗開発Bさん | 同上 |
| コムズガーデン営業所Cさん | 施設管理運営、テナントのサポート |
| コムズガーデン営業所Dさん | 同上 |
| 施設(コムズガーデン担当)Eさん | コムズガーデンの施設管理業務 |
| 施設管理Fさん | 施設維持管理や店舗の設計指導、工事受注に関する業務 |
時代の変化と共に進化する地下街
コムズガーデンのリニューアル
------- リニューアルの目的や経緯、コンセプトについて教えてください
大阪万博の開幕に合わせて、地下街も新しく

店舗開発Aさん:当時のコムズガーデンは売上高の低迷や宴会需要の減少、生活様式の変化による利用客の減少もあり、「戦略的なMDへの変更」が必要でした。
そこで、「近隣の方にも利用してもらえる施設にできないか」と考えて、マーケティング調査を行いました。周辺にはスーパーがいくつかあるものの、京橋エリアとしてはもう一つあっても成立するという結果が出たんです。そこで「スーパーを核テナントにした都市型のNSC(ネイバーフッドショッピングセンター)に方向性を定め、リニューアル開発コンセプトを、「“京橋公園×コムズガーデン 一体的な賑わいの創出”人々の日常に溶け込む都市型NSC」とし、これまでのように通勤・通学の駅利用者や、近隣で働くワーカーだけでなく、周辺居住者にも日常的に利用してもらえる施設にMDを変えました。スーパーを中心にドラッグストアやクリニック、調剤薬局など、毎日の生活に欠かせない店舗を揃え、飲食店は、ファミリー層でも利用しやすい店舗を集めました。
施設管理Fさん:施設管理の立場から見ると、少し違うスタートでした。コムズガーデンは1990年竣工なので、設備の老朽化が進んでいました。施設としては以前から、「設備更新をどうするか」という課題を抱えていたんです。さらに、人手不足・人件費高騰が続く中で、将来的には省人化も考えないといけない。「設備を更新するなら、その先の運営も見据えて効率化を進めたい」という考えがありました。
そんな中で、大阪市が万博に向けて地上の公園を改修することになり、「コムズガーデンもリニューアルしましょう」という流れになりました。そこから「店舗開発」と「営業」のリニューアルコンセプトと合流して、施設側の計画と合わせながら進める形になったんです。
本来ならもっと時間をかけて調整するところですが、今回は時間がなくて、ある意味「走りながら合わせていく」ような状況でした。
コムズガーデン営業所Cさん:当時のコムズガーデンは、正直あまり人が集まっていない状況でした。特に地下1階は居酒屋が多くて、昼間はアイドルタイム(暇な時間帯)になってしまう。回遊も少なくて、施設全体に賑わいがあるというイメージがなかったんです。「このままではいけない、今のニーズに合った店舗を入れないといけないんじゃないか」という危機感は、営業の現場でもずっとありました。
------- リニューアルの苦労や裏話があれば教えてください
限られた予算と、刻々と迫るスケジュール
店舗開発Aさん:今回のリニューアルはNSC型の施設を目指していたので、環境デザインも「緑を増やして気持ちよく過ごせる空間」を目指しました。緑の多い施設がパースにも描かれています。芝生や植栽をたくさん配置する計画だったんです。 が、予算の関係で植栽を減らすことに…。
実は予算との戦いでした。「これはやめよう」「ここは減らそう」と削っていくことも多くて、施設全部に手を入れたかったんですが、できなかった部分もあります。その辺りの調整は悩ましかったですね。
店舗開発Bさん:スーパーを入れることは決まっていたんですが、どこに出店してもらうかが大変でした。コムズガーデンの区画は「大型スーパーには小さい、コンビニには大きい」という微妙なサイズだったんです。
ですので、いろんなスーパーに声をかけましたが、なかなか決まらなくて…。最終的に和歌山のスーパーさんに出店していただくことになりました。また、テナントが増えると電力容量などの問題も出てきます。大手チェーン店等は、希望される給排気の風量も多かったり電気容量も多く希望されたり、「出店したい」と言っていただけるのはありがたいのですが、その都度施設側と調整する必要があって、そこも大変でした。
施設管理Fさん:施設管理側として一番大変だったのは、「とにかく時間がなかった」ことです。通常は、「基本構想→基本設計→実施設計→施工図があって、現場着手」という流れで進むのですが、解体するまで実態が見えない状況で、時間的制約と未知要素の多さから、設計を事前に詰め切ることが現実的に不可能で、設計は形を整えるのが精一杯だったと思われるなか、最終的には現場の判断力と粘りに頼らざるを得ない、非常に厳しい工事でした。
テナント配置も決まっていない、区画も確定していない。そういう状況なのに、工事は進めないといけないし、費用の見積もりも出さないといけない。
本当に「走りながら決める」状態でした。区画が少し変わるだけでも設備計画が大きく変わるので、ギリギリまで調整していましたね。現場担当者は皆で「終わらない現場はないからな!」の合言葉を毎日唱えていました(笑)
コムズガーデン営業所Dさん:僕は販促を担当していたんですが、オープン日がなかなか決まらなくて苦労しました。販促って、発表のタイミングがすごく重要なんです。早すぎても遅すぎてもダメですし、店舗側の事情もある。その調整に苦労しました。
それと、施設が閉まっている期間のコムズガーデンを初めて見たんですが、本当に静かで…。今まで人が多かった場所が急にシーンとしていて、夕方になると犬の鳴き声が聞こえるんですよ(笑)。「コムズって、こんな静かな場所だったんだ」と驚きました。
あと、昔からあったシンボルタワーが撤去される瞬間も見ました。長年の象徴だったので、やっぱり感慨深いものがありましたね。
生まれ変わったコムズガーデン
------- 注目してほしいポイントは?
地下に広がる、不思議な緑の広場
店舗開発Aさん:皆さん同じになるかもしれませんが、やっぱり芝生ですね。コムズガーデンでは長い間シンボルだったタワーを撤去し、その跡に芝生広場をつくりました。そんなに広い芝生ではないのですが、設置しただけで高校生や子どもたちが寝転んだり、そこで過ごしてくれたりするんです。今まであまり見たことがなかった光景だったので、正直驚きました。「作ってよかったな」と思いましたね。
それと、今回クリニックやスーパーを入れたことで、日常的に使ってもらえる施設になったのもうれしいところです。
店舗開発Bさん:私もやっぱり芝生ですね。人工芝ですし、そんなに広いスペースでもないのに、「どうしてこんなに皆さん座ってくれるのだろう」と驚きました。
今回の環境コンセプトは「ボタニカルガーデン」で、「都会の中のオアシスのような空間をつくろう」という考えでした。緑を多く取り入れることにも力を入れたので、そうした雰囲気を感じてもらえたらうれしいですね。
施設管理Fさん:外から見える部分は営業の皆さんが作っていると思いますが、施設の立場から言うと、今回の改修では「空調設備をセントラル空調から個別空調に変えた」ところが大きなポイントです。これまでは一つの系統で同じ温度の空調を流していましたが、今は店舗ごとに「時間も温度も自由に調整できる」ようになりました。店舗さんにとっては、かなり快適な環境になっていると思います。施設全体としても「省エネに貢献」していると思います。
また夜間の警備についても、機械警備を導入してカードリーダーで管理する仕組みにしました。まだ調整は続いていますが、うまく運用できれば人件費の削減にもつながりますし、「将来的には他の地下街でも展開できる仕組みになる」と思っています。
施設(コムズガーデン担当)Eさん:施設の面で言えば、エレベーターですね。もともとは30年前の油圧式エレベーターで、かなり古い設備でした。以前から更新の必要性は言われていたんですが、今回のリニューアルで新しくすることができました。
表から見える部分ではありませんが、安全面でも大きな改善ですし、乗り心地も良くなっています。施設としては、そういう「基盤の部分が更新できたのは良かった」と思っています。
コムズガーデン営業所Cさん:僕も芝生ですね。正直、できる前は「本当に人が座るのかな」と思っていました。あそこは通路でもあるので、「もしかしたら誰も座らないんじゃないか」と心配していたのです。
でも実際にオープンしてみたら、皆さん普通に座ったり、寝転んだりしている。女子高校生が芝生の上でくつろいでいたりして、最初はびっくりしましたね(笑)
最近では芝生の上で将棋をしている人たちも見かけました。いろんな使い方をしてもらっているのを見ると、「本当に人が集まる場所になったんだな」と感じます。ベビーカーのお母さんが子どもを遊ばせている姿もよく見ますし、そういう光景を見ると、「作って良かったな」と思います。
コムズガーデン営業所Dさん:それに加えて今回のリニューアルでは、「地域の人が利用しやすい店並びになったところ」を見てほしいと思っています。
実際に地域の方と話す機会が多いんですが、「リニューアルして使いやすくなった」とか、「クリニックを利用しています」「ファミレスによく行きます」といった声をよく聞くんです。そういう話を聞くと、やはりうれしいですね。
私は販促も担当していますので、「これからは地域の方に来てもらえるイベントも大事にしていきたい」と思っています。音楽イベントなども以前からやっていましたが、これからも地域の人が集まる場所としてコムズガーデンを盛り上げていきたいですね。

人とくらしの、より良い未来へ
------- 生まれ変わったコムズガーデンへの期待、未来への思い
店舗開発Aさん:リニューアル効果は永久に続くものではありません。日々のメンテナンスを継続することが重要だと思います。緑を大切にして、居心地の良い環境を維持していきたいと思います。
これからも「都市型NSC」のコンセプトのもと、地域住民の皆様に寄り添ったライフサポート型商業施設として、京橋を訪れる人、京橋で生活する人にとって魅力ある施設になることをめざします。
店舗開発Bさん:以前はサラリーマン中心でしたが、今は家族連れやカップルも増えています。この流れを続けて、「地域の方に愛される施設になってほしい」と思います。
施設管理Fさん:施設面では、今回の「省人化や効率化の取り組みを成功させたい」ですね。先頭を切ってチャレンジしていることなので、地下街全体の運営にも活かせるノウハウになると思っています。
施設(コムズガーデン担当)Eさん:きれいにしたものを維持することが大事で、その上でさらに利便性を向上させたいです。例えば授乳室を作るなど、「ファミリー層に向けた設備も今後検討していけたら」と思います。
コムズガーデン営業所Cさん:やっぱり「地域に愛される施設を目指したい」ですね。イベントも工夫して、近隣の大型施設に負けないぐらい人が集まる場所にしたい。
オープニングイベントの日、平日なのに人がいっぱいで、見てるだけで人に酔いそうなぐらいでした。「あの賑わいを、将来は日常にしていきたい」です。
コムズガーデン営業所Dさん:「京橋といえばコムズガーデン」と思ってもらえる施設になってほしいですね。コムズに行けば何かある。そう思ってもらえる場所にしていきたいです。
京橋の街の中で、少しずつ新しい役割を担い始めたコムズガーデン。リニューアルは完成ではなく、ここから「育てていくもの」かもしれません。
担当者たちの言葉からは、そんな未来への期待が感じられました。

【コムズガーデン】
オープン日:1990年3月20日(火)
(リニューアルオープン:2025年4月18日(金))
ディベロッパー:大阪地下街(株)
延床面積:7,847㎡
店舗面積:4,510㎡
階数:地下2階
店舗数:21店舗
URL:https://coms.osaka-chikagai.jp